なつになると「もくとう」ってあるよね。
あさ、テレビをつけていると、みんな、
だまってめをつむってる。
サイレンのおとが、ウーってなるよね。
とくに、八月六日と九日の、げんばくきねんび。
七十ねんまえの、はなしだけれど。
にほんの「ひろしま」では十四まんにんが
「ながさき」では七まん四せんにんが
げんしりょくばくだんで、ころされた。
にほんじんだけではなかったよ。がいこくのひとも、そこにいたひとたちは、みんな。
ひろしまでは、げんしりょくばくだんは、じめんから六百メートルのところで、ちいさなたいようのように、ばくはつしたんだって。
ちじょうは、四せんどという、たかいおんどになったんだって。
もくもくと、おおきなきのこのように、くものかさがひろがって。
ばくはつのねつで、くろこげになって、しんだひと。
ひふが、やけただれて、かみのけもずるずるぬけて、おばけみたいに、かわのほうへあるくひと。
みずをのんで、そこでしんでしまったって。
こわくない?
わたしはとてもこわい。
きみたちがおおきくなって、そんなふうにされたり、そんなふうにするひとになることが、とてもこわい。
だから、ずっと、おにいさんやおねえさんになっても、おじさんやおばさんになっても、おじいさんやおばあさんになっても、おぼえていて。
げんしりょくは、こわい。
せんそうは、こわい。
わすれては、いけないよ。
たくさん、ひとが、しぬんだよ。
ここで。きみのまちで。
あるいは、どこかで。
タイトルイラスト:犬山しんのすけ
原子爆弾などの核爆発によって起きる積乱雲の一種、キノコ雲(原子雲)のイラスト by いらすとや
とよよんニュー詩「もくとう(黙祷)」とよよん