
賢人の瞳をした夏の花がまた咲く
森の奥から発した緑の雲が
君の心のしるしを空に描いて
そこにとどまれ
肺胞を三度膨らませ
パチンと何かが弾けた
クリル クルリル 瑠璃色をして
朝顔の名は「天上の蒼」
あどけないロンドを舞う君の
まあるい影が花棚に重なった
渇いたソプラノが響く

尽くせない言葉を追って
プラットホームの外れまで走ったっけ
陽炎の中のふるさとに帰って行く君
一つの傘一つのグラス一つの…
共に過ごした時間を縦に裂いて
お互いの胸に糸のない針で留めたね
今日
更に深いところに移った痛みが
警告の汽笛を鳴らしている
【YUKIO 3.0%】詩:天野行雄 イラスト:3.0%