どこも壊れてなんかいない
ほつれた場所を隠してる
とれかけたボタンは
旅に行ったまま
穴のあいた場所から
のぞく 光と闇
いい生地なのに
素敵なデザインなのに
手にとって
一番 損傷の少ないものから
売れていく
ほんの少し
手を加えてあげたら
甦ること知りながら 手間を省く
そぎりおとされる 心
時間にかえがたいもの
確かめたいのは ものへの愛着心
一枚の生地が
一つの形になるまでの月日を考える
縫い直され
新しいボタンに付けかえてもらう
B品だったことで繕う 心
息づくように
袖を通すと喜びが伝わってくる
何回 お洗濯しても
クタクタにならないのは
品がいいから
風に吹かれても
くたびれたなんて
言わせないんだから
あおぞらそんぐ「B品」サトウアツコ
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