てんしのかきかた


花の鳴る、季節は手を繋いでいたい。生と死をごちゃ混ぜにしたら、何もかもどうでもいいね。
花の鳴る、私の中のあなたへ。始りと終りの間に交わそう。守られない約束とキスを。
花の鳴る、午後は時間が止まる瞬間がある。見逃さないで耳をすませて。幼い笑い声が響いているよ。

天野しえら

真っ白な世界に
産まれたあなた
凍えそうな声で
僕を呼んだんだ
白い息は生きている証
世界に漏れないように
あなたと唇を重ねたんだ

てんしは、傷ついた心に
触れる
そして光で包む
だけど
てんしは、傷ついた心に
揺れる
そして闇で包む
だけど
てんしは、傷ついた心に
触れる
ループ ループ るる ルール

サトウアツコ

サリエリは、会場から出た。彼の死については、憶測が乱れ飛んでいる。馬鹿なものもある。しかし、サリエリは、今日の最後の交響曲を聴いて、納得した。彼は天使を描いてしまったのだ。天使の群れが飛翔した。人間に許される境域を音楽が越えた。嫉妬した神が連れ去ったのだ。

笛地静恵

沈黙は天使の通りみちだから僕らしづかにくちづけかはす

とがし ゆみこ

イラスト:3.14%

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良き“てんしのかきかた”記したか、季夏の神笛よ。

よきてんしのかきかたしるしたかきかのしんてきよ

コジヤジコ


花が咲いていた。
鳥の声は賛歌だった。
風の音も怖くなかった。
月は曇天の上に輝く。
此の世にあなたはいた。
岸は渡らない。
之けば会えるとしても。
美しい此の世をあなたは愛したから。

ねんね

それは甘い媚薬にも似て僕を惑わす。うつろうものの理を壊して美しいまま留めてしまう。白く塗った羽根がこすれて、黒く艶めいたそれが目に入っても、盲目と化した僕には何も見えやしない。

鏡コウ

アナタハ誰デスカ、と問うと
「ワタシハ天使」と微笑むのだった。
いつも、見ていてくれましたか。
はい、いつも見ていました。
そんな気がしていた。気からしてあやしいが、なんの、些細なことだ。
ありがとう、と私は言った。
天使は、やっぱり微笑むのだった

藤 一紀

お花で輪っかをつくりましょう。
できたら、それを水に浮かべて。
のぞき込んだら、ほら出来上がり。

卯月 幾哉

人に出自があって
精霊界
天使界などなど
それは修行の形態でもあり
修練課題でもあるのです
そろそろ精霊界卒業でしょう
12番とは 聖なる数字

天野行雄

春の気まぐれの舞う
火曜日の昼さがり
ケープの少女は
母の肩にとまり
お天気に
少し困った顔になり
まゆの角度が
母のそれとおなじ

とよよん

あかいらんどせるの

あああ

のれんしゅうをするてんし

水松

君の輪郭をなぞる。浅い眠りの中、肌の色や瞳の色だけじゃ足りなくなって焦がれる。欲が陽炎のように漂い君の頬を染め始めたので、私は手を止め目を覚ました。上手になるとどんどん薄れるから、怠惰に君をなぞり続けるよ。君は一人の夢でだけ生きて、常にゼロでいてほしい。

タムラアスカ

目の覚めるような
白ではなく
程よいアイボリーの
いでたちなのは
春の砂埃を
歩いてきたから
光輪もなく
羽もない
ごく普通の
変わらぬ姿
人々にまぎれて
その人はいる

mimi △

絵筆をとるも
この網膜は性能が落ちるらしい
ナニをとらえるか
うろうろ迷って
ただその奥の
鼻の奥らしきがツンとする
ドウシタノ
と鈴を転がす声がして
膝の上に温度とニホイ

加納 忠典

──聞こえたかい
──聞こえたね
冬の終わりの風の中
小さくて白くていっぱいの
春の準備をしてるよ
──もうすぐおはよう
──もうすぐおはよう
春のお歌のご挨拶
まだかまだかと待ってたら
枝に止まったウグイスが
一足お先にご挨拶
ねぼすけ天使はいつ起きる?

平民c

まだ
ししかかけないの。

宮尾節子

てんしの◎をさわる
てんしの鼻の◎をさわる
てんしの耳の◎をさわる
てんしの口の◎をさわる
てんしの臍の◎をさわる
てんしの尻の◎をさわる
くすぐったがっててんしが◎らう
あははは◎らう

こひもともひこ

雪餅盗む 春節句
あられサイダー ほろ酔う目
猫へ天使の 輪を描けと
矢文尾に添え 雛祭り

ゆきもちぬすむはるせっく
あられさいたーほろようめ
ねこへてんしのわをかけと
やふみおにそえひなまつり

東風めかり

てんしのほほえみ
うらのかおはあくま
あくまはつんつん
うらのかおはてんし
どっちもきずつくし
あたえるしうばうよ
どっちもふわふわと
ぼくらのみぎひだりにいる

天野しえら


2016/2/26-3/3開催「楽詩」Twitterイベントより とよよん選。楽詩Ⅴ掲載

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