三角定規詩集

作品紹介

2015年5月13日より23日にかけて開催された、タグ「#三角定規詩」をつけて三角形を視覚的に使った詩をツイートするイベント、#三角定規詩 1 (Togetterまとめ)#三角定規詩 2より、7月14日より29日にかけてコンビニネット(ワーク)プリントで配信されたとよよん選アンソロジー「三角定規詩集」です。

 

三角定規詩集



む。 
よし。 
そうだ。 
ゆっくり。 
最初が大事だ。 
そこだ!一気に! 
だめだ!負けるな! 
ぶつけろ!今までの! 
叫べよ!伝えたいことを! 
おおお!おはよーおおおお!  
トラ太郎

美味しいコーヒー 
オムライスの黄 
流れる詩たち 
明るい音楽 
良い日で 
晴れて 
奏で 
て 
衣末(みみ)

きょう顎のはずれた人を見た 
と、井伏鱒二が書いている 
僕は一度も見たことない 
大きな口でぱっくりと 
涙を流して舌をだす 
突然そうなるかも 
と想像してみる 
なんだか怖い 
模型の様に 
すっぽり 
抜ける 
関節 
骨 
Nushi

か 
どを 
鋭利に 
しあげる 
為にことば 
文字を磨いて 
磨きに磨き磨き 
窓より宝石よりも 
黒曜石の石器のよう 
進化しましたね私たち 
メモリをそえて三角定規 
計って計ってそればかりで 
物もいきものも切り裂かない 
ための道具をネットにつくって 
みいとかろ

余白のない|言葉のない
たしかな   たしかな
わたし     あなた
など       など
いない     いない
いらない   いらない
言葉があり|余白である
亜久津 歩

緑 
自然 
けもの 
つけもの 
つけようか 
キューちゃん 
わさび漬け 
一夜漬け 
浅漬け 
白飯 
茶 
(お題「けもの」 )
LUPIN

旨 
旨し 
肉うま 
皆で食う 
だかしかし 
当たってから 
ははははははは 
Hiyoji

気に入りのバスケシューズ 
突っかけたらトントンと 
玄関から小気味よい音 
一度は閉まった扉が 
また開いて大きく 
いってきます! 
また聞きたい 
君を真似て 
今日独り 
鳴らす 
夏の 
踵 
蟻男

鮭 
うめ 
おかか 
こんぶの 
おにぎりを 
ぎゅぎゅっと 
三角ににぎって 
あおぞらのもとへ 
ピクニックに行こう 
水筒にはキンと冷えた 
麦茶をいれましたと手紙 
おばあちゃんの味に似てきた 
母の味に似てきた私のおにぎり 
空を型抜いて未来に浮かんでいる 
しゆう

愛 
会い 
会いたく 
なってしまう 
この病気に関し 
詳細は知らないが 
寂しさが混乱を招き 
今に至ると知ったよね 
それならいっそ涙流して 
しまえば簡単に愛が戻って 
いくのかなあなんて思ったり 
愛と孤独は別の場所に存在する
雨粒あめ子

     夢
      希望
    あなた
     とわたし        
珱日華 

お偉い御方、お偉い殿方、 
 足元にご用心、巣から這いでた 
  蟻が十匹、列なしてとおります 
   百獣の王さえひれ伏すやつらを 
    ふみつけた日には恐ろしや 
 
* 
 
私がだした、 手紙は四通 
同じ言葉、  文字五つ 
横っちょに、 描いた絵 
楠木三本 並ンでる 
藤 一紀 

思うココロと感じるココロ 
きみは違うと言うけれど 
同じ胸のなかなんだよ 
優しい心のまんなか 
疑うことなどない 
信じて、信じて 
つきすすめ! 
大丈夫行けるよ 
諦めないで進んで 
そうすれば辿り着く 
君が目指したその場所へ 
君が夢見たあこがれの場所へ 
もえぎ

真 
似指 
しに掲 
て僕げひ 
みはると星 
た焦君つ 
けがの 
れれ 
ど 
白 
み其 
され煌 
えが々そ 
し欲とっを 
なし光と 
かくる 
って 
た 
もじほこり

即 
空に 
見える 
羽ばたき 
行方は胸の 
泉に向かいて 
走り出すひかり 
その名も知らずに 
降り積もる惜別の下 
知っていたはずで 
忘れていた闇の 
果て度ない底 
留まり続け 
流れ出ぬ 
盲目が 
是の 
色 
(「色→即→是の→空に」というように、 下の行、上の行と交互にも読める作品) 
梁川梨里

私は自由であり続けたい 
はて無き道を歩 いてく 
私の想いはい  つでも 
で来損ない   かもね 
あり来た    りでも 
り解不     能かも 
続か      ぬ想い 
け       そうか 
たぶん     此処も 
い時かはな   くなる 
なんにも無くなつちやう 
ikkoh


朝の
露の中
パチンと 
放たれた光
弾けてく
心の中
君の
中 
にゃむ


写真:にゃむ
写真:にゃむ
かみどめ
みっつ
ひか 
る 
朝 
の露 
草の髪 
とよよん

氷氷氷氷氷氷氷 
氷氷氷氷氷氷氷 
 氷氷氷氷氷 
 氷氷柱氷氷 
  氷氷氷 
  氷氷氷 
   氷 
   氷
bungo29

     ふ 
     ふら 
    ふらふら 
    ふらついて 
   ふあんていな心 
   ふしぎに倒れない 
  ふりこのようだ 
  ふいに笑う 
 ふてきに 
 ふふ 
葉月野

楽 
駱駝 
楽だね 
クダラネ 
暗く抱くね 
ダジャレだね 
アナグラムだね 
苦 
堕落 
砕くね 
九九だね 
砕く百済ね 
ダジャレだね 
ふたこぶ駱駝ね
こひもともひこ

紙 
水色 
飛行機 
落ちそう 
へなへなだ 
でも落ちない 
白い雲の果てへ 
水平線のかなたへ 
国境線をこえていく 
汚れてもきずついても 
墜落だけはしないさ 
こどものなみだが 
燃料となり先へ 
先へ行かせる 
地面に落ち 
血を流し 
続けた 
あの 
夢 
笛地静恵

白 
紫紺 
ピンク 
グリーン 
どれだけの 
想い集まる? 
なんてワガママ 
でもね、十人十色 
たまにはいいでしょ
りんれ
   
   まるで君への置手紙 朝
   さんかくに折って 開く
   しかくい形より 祈りの
   手の平収まる 掌の温み
   このきもち 末梢部から
   花ひらけ 胸の深い処へ
   いまは 逆流をはじめる
   まだ 一日はこのように
   蕾 繰り返しては訪れる
サトウアツコ(左上三角の詩文)
天野行雄(右下三角の詩文)

夜 
ああ 
もう朝 
しくしく 
耳の裏から 
過去が去って 
水というなにかを 
なにかに託すように 
しくしく、しくしくと 
樹をつたっていくように 
あなたのうちを流れてゆく 
あなたが眠っているときにも 
その小さな小さな音はつづいて 
午前四時になれば鳥達がついばむ 
とみいえひろこ

ほ 
ぬの 
せっち 
さんかく 
しようきに 
ろーふをはり 
まるい あなへ 
むけてとおす 
われたそら 
ゆめやえ 
ひみつ 
ねこ 

 
帆布設置。 
三角定規にロープを張り 
丸い穴へ向けて通す。 
割れた空、夢や絵、秘密、猫も。 
(口語いろは歌)
コジヤジコ

花 
開く 
紫陽花 
ワサワサ 
青紫の花弁 
ワサワサワサ 
色気が増したね 
ワサワサワサワサ 
ワサワサワサワサワ 
サワサワサワサワサワ 
サワサワサワサワサワサ 
ワサワサワサワサワサワサ 
犬山しんのすけ

ないかくのわは、あわですか。正答ですか 
ふっとう、沸点ひゃくど、ゆがみますか 
えちゅーどのように嘘、こなせますか 
ちゅううでさえ、出会いたいねえ。 
ひゃくはちじゅうど、誓いますか 
ひゆーくりっどのぐりっどは、 
へいこうせんをたどりますか 
せっかくですもの、岸辺で 
かはんしんが、対頂角ね 
いつまでもたどれます 
いつも、ゆれますか 
ゆーくりっどさん 
まあ、ご名答ね 
ぎんさんかく 
ゆれますか 
水銀三角 
絹三角 
三角 
「海埜今日子へのオマージュ」 
及川俊哉

米 
食う 
もっと 
食べるで 
お替り早く 
持ってくるぬ 
ぬっぬ( ̄Σ ̄@) 
 
三角定規詩に挑戦ぬ( ̄Σ ̄@)すぃすぃ〜 
もみゃりー

禿 
てる 
バナナ 
じゃない 
三日月じゃ 
てるてる坊主 
わしはてる政宗 
イカじゃない 
イケメンの 
晴天祈願 
ずんだ 
もち 
パ 
 
難しいのう〜  (´●口・`;) 
 
ず 
んだ 
もちパ 
ンチ 
てる政宗

角 
時に 
必要な 
大切な角 
丸さに無い 
落ち着いた形 
見た目にもホラ 
なんだかオシャレ 
tanpopo

乳房を揺らし 
揺ら揺らと 
女が一人 
着いた 
果て 
旅 
minako.inoue


イラスト:minako.inoue
イラスト:minako.inoue


お 
っぱ 
いはい 
つもうつ 
くしい 
のに 
な 
大木はち

□僕をあらわす数式 
横たわるのは彼女 
つきささる言葉 
僕と君の直角 
彼女の答え 
僕と君と  
彼女の 
公式 
≠  
3.0%


イラスト:3.0%
イラスト:3.0%


      ⊿ 
     直角 
    二等辺 
   三角形は 
  皆同じだね 
 私が痛いのも 
皆と同じなの? 
ねんね

       ゆゆ
ゆ    ゆゆゆゆゆ  ○
ゆゆ  ゆゆゆゆゆゆゆ ⚪︎
さかなのおさんぽびより゚
ゆゆ  ゆゆゆゆゆゆゆ
ゆ    ゆゆゆゆゆ
       ゆゆ
じせヨク

僕は 
五月に 
誕生した 
とつづった 
修司の青春の 
詩集を読み返す 
若楓を揺らす風が 
ここちのよい公園で 
われに五月を、と 
私もさけびたい 
虫もけものも 
紙飛行機も 
目指すは 
海の色 
の空 
(お題「五月」「若楓」「さけび」「虫」 「けもの」「紙飛行機」「海」「空」 )
とがし ゆみこ

涙 
一粒 
夢の種 
土から芽 
埋めた想い 
まん丸の地球 
それが僕の出口 
捨てきれず託した 
来世で幸せにと願い 
心を殺して埋めたんだ 
汚れた手を洗い流す 
後悔が落とした涙 
それは心の結晶 
一緒に居たい 
聞こえた声 
手を繋ぎ 
咲いた 
一輪 
夢 

塩 
の花 
爛漫に 
舌に咲け 
味蕾を奪え 
ためらわずに 
血流から浮かべ 
肉体を結晶にしろ 
死海の化石のように 
アンドリュー・カンパーナ

はや5月に真夏日とは厳しい 
晩ごはんの時間になっても 
窓からの風がここちよい 
シンとした薄闇の隅に 
ジーっと鳴く虫の音 
どちらの窓からも 
聞こえるような 
方向が分らぬ 
音ではなく  
電波の様 
頭の中 
響く 
渦 
tomoon

舟 
の上 
から見 
る街はな 
ぜいつも旅 
をやめたくな 
るほどの灯りを 
掲げているのでし 
ょうか暫く住ん 
だらまた旅に 
出たくなっ 
てしまう 
のだろ 
うけ 
文月郁葉

あ 
風に 
風車が 
からり… 
からりん… 
からりんこ… 
海辺の白い風車 
潮風を食べている 
ハイウェイはびゅんと 
時をみじんぎりしている 
風車はひとりで震えて 
風車は一人ぼっち 
風車は夢想する 
海辺の白い、 
回る群落を 
風車の 
群落 
を! 
森朱鞠

優しいひとと話すのは恥ずかしい 
手前勝手なクレームを思いきり 
投げつけてやる、そんな空想 
恥ずかしくてとてもそんな 
できるはずもないことを 
脳裏に描いては消して 
叫びだしそうなほど 
恥ずかしくなって 
ひとりぼっちの 
帰路を駆ける 
振り返れば 
もう一人 
の君は 
私の 
影 
家来

君が愛おしい 
激しい想い 
君に届け 
想いの 
血流 
芯 
へと 
注ぎて 
しなって 
痛いくらい 
君に突き刺す 
この想いの塊を 
いかに萎えさすか 
一人じゃイヤだから 
君に入ってから萎える 
そこまで行っていいかな 
ここまで来てくれないかな 
毎夜叶わぬことを思い果てる 
祇木寿一

雷 
鳴り 
雨降り 
真夜中の 
静寂は眠り 
震える空気が 
内耳に宿り 
浮遊する 
煙踊り 
散り 
Orpheus-オル/おる-

私 
あめ 
ナミダ 
泣き虫空 
キミはユメ 
キミはヒカリ 
とどけたい 
私のおと 
とどけ 
キミ 
に 
眞 雪

鳥 
手紙 
ひらく 
はばたく 
ときはなつ 
文字は出逢い 
背中を合わせて 
さよならは言わず 
沈黙はつららとなり 
鋭い尖端を地に向けて 
言葉の舌先を濡らす 
ダイヤを粉砕する 
光を撃ち落とす 
羽根が落ちる 
だきしめる 
折り畳む 
とじる 
手紙 
塔 
sample


画像:すみれ
画像:すみれ
すみれ

グ 
キッ 
ボキッ 
とかとか 
鳴らして首 
の骨を鳴らし 
て見せるジュン 
 
凝り症だから 
とかとか 
言っ 
て 
しょっ 
ちゅうボキ 
ボキやってた 
 
いつだったかおもいっきり 
首を回して(まるで竹 
トンボのように、 
ね)飛んで 
いって 
そのまま 
まだ戻らない 
(田中宏輔「回す!」より抜粋  アレンジ:とよよん) 
とよよん+あつすけ

ち 
ほお 
そらに 
めーるを 
けものたつ 
さんせっとへ 
しろ やねより 
かみひこうき 
いぬくわえ 
すなはま 
あゆむ 
ふれ 
て 
 
知 頬 空に メールを 獣立つ サンセットへ  
城 屋根より 紙飛行機 犬咥え 砂浜 歩む 触れて 
(口語いろは歌) 
羊坂珠音

三 
角に 
縁取り 
させよう 
今日の生活 
わたし娯楽の 
創作ほんの数分 
文字列描画という 
素敵な出会いと試み 
頂点も適当底辺も適当 
両翼にも好き勝手を許す 
あと一字で終わるのはいや 
ブルーライト画面上を悠然と 
鎮座三角集合体実像ピラミッド 
タムラアスカ

潮騒の砂浜……… 
泡に消え散る夜 
夢を弔う…… 
濡れた秘密 
帆船喪へ… 
駆けてく 
そろり 
千夜 
孤 
 
しおさいのすなはま 
あわにきえちるよ 
ゆめをとむらう 
ぬれたひみつ 
ほふねもへ 
かけてく 
そろり 
せん 
や…………こ←ひとりぼっちの孤
(口語いろは歌) 
東風めかり 

夏。 
青、潮。 
海風、浜辺、 
吹いた、波の音。 
膨らむ袖、藍を抱く、 
マスト咲く、スカートの。  
自転車を駆り、平均台を渡る、 
両腕を伸ばして、抱き抱えた空。 
夏樹かのこ

左手の親指の付け根がやられた 
あ、いたいなら捨てればいい 
熱を持つスマートなフォン 
てばなせなくてスマート 
でないってかかっても 
出てあげない駆けて 
来てくれなくちゃ 
嫌なのって何様 
俺様私様ざま 
さまになる 
後ろ姿? 
A(C) 
()÷ 
い 
「三角な関係」 (「()÷」は阿ト理恵氏の表現より) 
こうだたけみ

猫 
キミ 
なんで 
わかるの 
僕の気持ち 
普段はツンな 
君が寄り添う夜 
君だけに見せるよ 
僕の閉じた心の中を 
言葉いらない僕達の絆 
ねえずっとそばにいてよ 
きっと君の最後のときまで 
僕はずっとずっと側にいるよ 
sato-chi

今 
風が 
そっと 
私の心を 
通り抜けて 
そよそよと花 
さやさやと葉が 
音をたてて揺れた 
見えなかった何かが 
見えるようになったり 
気付けなかった何かにも 
気付けるようになる時って 
きっとそんな僅かなきっかけ 
心の中の風見鶏がくるり動いた 
さくら餅子

鐘 
 の音     ガラス 
  響いて    の靴は 
   すべての   輝き続ける 
    魔法が解け 
     てしまっても 
もちやすみ


イラスト:もちやすみ

 

三角定規詩集

三角定規詩集」に2件のコメントがあります

    1. りんれさん、縦にずらっと並んだ姿も良いですよね!こちらこそありがとうございますm(__)m

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