楽詩ツイート企画「きみのハーバリウム」

2018年4月3日から14日までの期間、「きみのハーバリウム」というタイトルで、ツイッターにてmg3のイラストにあわせた文芸創作を募集しました。

タグ「#楽詩」をつけてツイートしてもらい、1作品が1ツイート内に収まっていれば何作品でも投稿してよい、文芸のジャンルは問わず、あらゆる短詩、言葉遊び、ショートストーリーなど自由という条件でした。

今回の企画も自由詩が一番多く、次に短歌、ショートストーリー、言葉遊び、俳句という感じでした。「きみの」という言葉をつけたので主体や視点に普遍性が出てしまうのではと心配しましたが、そんな思いをよそに、さまざまな作品をお寄せいただきました。

作品はほぼ時系列順に並べてありますが、連詩のように引用ツイートしていただいていた作品については、なるべく続けて掲載してあります。

投稿ツイートをまとめたツイッターのモーメントはこちら

 

 

 

illustration by mg3

 

目覚めたらハーバリウムの中

転生し魔法の水に揺らぐわたしは

花であり花ではない

型にはまった生き方に疲れて

願ったのは鮮やかで優しい生き方

誰かを癒すことは自分が癒されることだと

今頃きづいたの、だから

衣未

 

其処は現実からのコントラスト

きみの科学が生み出した魔法

あまりにも唐突で

こんなにも矛盾した

理を断りなく壊してしまう

タイムトレンドの禁忌

わたしが生きてきた時と空間を

永遠にしてしまうハーバリウム

きみは気づいてない

きみ自身が永遠じゃないことに

流歩詩

 

花の精ハーバリウムの夢きみの優しさ孕むパラダイムシフト

流歩詩

 

昨夜の夢を標本にした

瓶詰の標本だ

昨夜標本になった筈のきみの標本がない

夢は無情で

色付けも上手ではなく

五感を刺激する何かをいつも忘れている

きみの美しさは

標本にはできないと

夢の中で囁く声が聴こえたような気がした

そんな夢の標本

木村孝夫

 

想い出をハーバリウムに閉じ込めて君との恋はこれでおしまい

ひぞのゆうこ

 

永遠的竜宮城

herbarium aquarium

舞姫は脱け殻

蜜と香りは返上済み

魅せられた

蝶々の狂恋

鱗粉尽きて尚

白油の瓶をめぐる

悲劇的慕情

野宮ゆり

 

少しでも留めれるかな無造作にあなたがくれたたゆたう記憶

雨虎俊寛

 

ゆく春のハーバリウムのある部屋の隅でかはした会話は秘密

とがし ゆみこ

 

彼女のおもいが朽ちないように

瓶に詰めてみたのだけれど

おもいはすぐに変わり色あせてしまう

どうにかならないものかといろいろと試して

彼女ごと瓶に詰めれば

色あせないことが分かった

オイルに浸されて動かなくなった

彼女たちはいつまでも変わらず

おもいも変わらない

こひもともひこ

 

ひとつところに留まれば

わたしの色香は濃くなります

ひとつこころを留めれば

わたしの思いは濃くなります

変らぬものがお好きですか?

変わらず愛でることはできますか?

こひもともひこ

 

きみの永遠を望む

種を残さぬことは悲劇か

小瓶に色めく花弁を見て

私はそうは思わなかった

冷暗所で眠れ

生を光や影に左右される事は

もうきみには無いのだから

mg3

 

十二歳の夏に

一緒に昆虫採集をしたきみ

七年ぶりだね

植物の標本を見せてくれるって

これはあのとき見つけた

妖精じゃないか

これはぼくの植物の

ハーバリウムだよって言うけど

見えないの、それとも

見えるのにそう言ってるの

どちらにせよ

きみは大人になってしまった

とよよん

 

いえこれはハーバリウムというのよとハーブオイルを指さしてきみ

つくりかた教えてあげると妖精のことばなのかな口もとをみる

ひとつだけほしいとねだる育てかたは夏のインクで記してほしい

とよよん

 

イタリアンカフェを営むきみよ

オリーブオイルの高騰に

とんでもないことを

なんでもないようにやってみた

きみはドヤ顔で見ろという

世界のどこでもない

フェアリーオイルを作っているのは

このお店だけ

おぉきみよ

他に気づくべきだ

もっと大事なことに

流歩詩

 

ハーバリウムの小部屋を潜めた。

藍の哀しみ、燃える憎しみ、待ち侘びる愛。

眠る前のカモミールティーが甘く喉を伝えば、薬指から伸びた古木が君に問いかける。

不純物0%、瓶詰めの命。

答えが螺旋を描く前に、今日も夜を閉じましょう。

天野しえら

 

褪せぬ色を見に纏い、

閉じ込められた植物達は笑っている。

まるで彼女達の呼吸音さえ聞こえてきそうな瓶の中。

「苦しくないのかい」

そう問えば、

「ここにいれば、美しい姿のままでいられるわ」

と、そんな声が聞こえてくる。

そこはまさに、

植物達のネバーランド。

故意の海女に

 

瓶のなかに

私は

ずっと

生きていられる

たとえ

最初のすがたとは

変わったとしても

一緒にいられるはずのない

憧れの花たちと

同じ空間にいて

眺められる存在になる

第二の

生きかたを

私はきみに選ばれた

紅育

 

鯖は旨い

金魚は食える

緑のやつは興味ない

するどい視線の主が狙う

生き物の色

食い物の色

こひもともひこ

 

きかせててらすあさ

みれんのれくいえむ

のはやうとあまるね

はこひめやかによい

あいいろみあげたる

ばにらかにかたむけ

りちぎなひとはけむ

うかへさかせている

むうとんるりにゆめ

*突っ込みどころ満載ですがイベントの賑わいに

縦横で(*^^*

東風めかり

 

もうこれで 

さよならなんて

いわないで

眠り続ける

次元の狭間

元ヤマサキ深ふゆ

 

哀しい想ひ出が

きみの夜に雨を降らせるなら

あたしが星の灯りとなって

きみの孤独を照らしてあげる

灯されたハーバリウムの優しさは

雨夜の星の秘めたる願い

流歩詩

 

わたしの世界の

不思議を尋ねて

花の散り際の

哀しい季を詠む

磨きこまれた

化石の面はゆさに

戯れ盛る紀の

熱い想い出を知る

全てたまゆらの

移ろい易さに

帰り着くなら

ふと寛げるところ

タツノオトシゴのよう

漂って

誰かに見つかったら

微笑み返せばいい

天野行雄
 

透明なきみのこころと

散り際の美しき樺桜

暁の空の柔らかき光を

できるだけたくさん

つけ込んでみたい

流るる季節が瓶のラベル

春あけぼのの光を当てて

キラキラと揺れてる

笑い声も揺れてる

それを抱きしめて眠る

afterglow

 

花言葉で綴られたローレライの詩篇

その脈絡のない、思い出の川を下る

植物図鑑の上で明滅する読書灯

モールス信号は

「暗号を解読せよ」

(きみを解剖せよ)

と急き立て、暗礁に乗り上げた

饒舌な花弁を透かしても

きみの本心は未だ解明不能

故に標本は沈黙する

杜 琴乃

 

眺める時間が無名の泡となって消え鼓膜を震わせ安堵。相槌が流れ込み加速するサンプル化、クロスしたそばにあるパレットの無名の色が混ざるさま、中に暮らす日和の小瓶に葉の輝きは邪魔でしかない。水と右下にサイン、靡く息の音、緩い蓋の甘さが連れ去るつもりだ。

タムラアスカ

 

主人は水槽に魚ではなく花を飼い始めた。そういえば夏に連れてきた金魚は酷く軟弱で少しつついただけで死んじまった。食うつもりなんて無かったさ。吾輩の目の前でやたらひらひらとさせるもんで揶揄ったのさ。しかし今度もひらひらした奴らだなァ。おや蓋が閉まってら。

杜 琴乃

 

きみ、から十数年前に貰った

「数十万年前の植物化石」を

なんとなく机の引き出しから取って

見ていた

「新生代第四世紀洪積世のもので」

と説明が書いてある

洪積世

という時代に

時めきをおぼえた

わたしは

ロマンチストなのだろうか

深田水松

 

夜の店のきみは

ズブロッカを出してきて

「これもハーバリウム?」

ケタケタと笑う

足のつかない

スツールにかけたぼくは

「間違いないね」

バイソングラスに笑う

まさ

 

花盛りの頃

それはもう

見事だから

それゆえ短い夏に

拍車がかかって

いつかの富良野

リナリルの恵み

丘陵のいずこにも

恩寵があった

静かな瓶詰めは

今日もドレッサーに

鎮座して

再来する

夏を待つ

これほど大切に

されているとは

当の本人は

知るはずもなく

mimi

 

花明かりの下で

共有した夢物語

夜明けまでの

僅かないのちを

祈るように

見つめてた

きみのいのちが

夏まで持ち堪えるか

何の保証もなかった

医師でさえも

口を噤んでいた

春の靄のまぼろし

瓶に詰めたなら

口下手なきみの言葉

きっと微かな泡に

姿を変えているだろう

シュワシュワ

afterglow

 

チャック先生は人気者

いつも白衣で理科室にいて

標本棚の整理に余念がない

実はお手製のハーバリウムに

凝っているらしく

ハーブばかりか

昆虫や野菜も並べてた(汗)

スズメバチと

朝鮮人参の封入液は日毎に減る

キュウリは多分ピクルスだが

お口にチャックだってよ!

天野行雄

 

この世界の嘘が

あの子たちの存在(ほんとう)を

消そうとしている

絶滅種の標本ときみはいった

知っているよ

その嘘に隠された

きみの優しさを

傷つき眠るあの子たちを守るために

知っているよ

その嘘に秘められた

きみたちの絆を

そう

この世界の本当を 

流歩詩

 

青梅雨やかた恋をとぢこめてをり

涙ごとかわかしてハンカチの花

とよよん

 

光の下(もと)できらめき

光に恋い焦がれながら手を伸ばすも

届くことのない想いとともに

逃れることも

忘れることも

想い続けることも

叶わない想いを

この中に閉じ込めて愛でる

悠真

 

夜の魔物はいつも人々を

眠れなくさせる

だから神様は女神である

3人の娘達に頼んだ

長女は孤独を奪い

次女は不安を受け

三女は寂しさを分け合った

そして人々には夢だけが残った

夜になると優しく照らす

おばあちゃんが教えてくれた

ハーバリウムの物語

流歩詩

 

心で咲いたお花を摘んで

やさしい風で乾かしてから

無垢なガラス瓶に入れて

咲いた時に溢れた気持ちを

泡が混ざらないようゆっくり注いで

ぐっと蓋をする

ずっと作り続けてきた特別な私のハーバリウム

いつからだろう

君の色になったのは

平民c

 

《end》

 

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