この記事から読み始めていただいても全く問題はありませんが、これは連載 第1回の続きにあたるため、
から読み進めることをおすすめします。
【連載】第2回「みんなちがって、みんないい。」
連載 第1回では、「楽詩」という言葉の読み方について書かせていただきました。
「らくし」でも「がくし」でもなく、「たのし」。
楽詩、は、たのし。
たのし。
いろいろな読み方ができることは、言葉の面白いところであり、難しいところでもあります。
楽詩の「詩」という字も、普通に読めば「し」ですが、違った読み方では「うた」と読むこともできます。
そのため、「楽詩」を「たのし」ではなく、「たのうた」と読めばまた違った印象になるのではないでしょうか。
「楽詩」と書いて、「たのうた」と読む。
「らくし」でも「がくし」でも「たのし」でもなく、「たのうた」。
楽詩、が、たのうた。
たのうた。
……。
うん。この読み方だと、楽詩は15号を迎えることなく2号くらいで打ち切りだったかもしれませんね。
楽詩(たのし)という名前で、本当に良かった。

ところで、
皆さんは今、この記事を黙読されていると思います。さすがに音読されている方はいません……よね?
そんな皆さんにお願いしたいことがあります。
たのし
と、10回声に出して言ってみてください。早口言葉のように、できるだけ早く。
それではいきます。リピートアフターミー、
たのし×10
声に出して言ってくださった方、ありがとうございます。
周りに人がいて無理だった方は、心の中で「たのし」と10回言ってみてください。
突然ですが、ここで問題です。

この写真に写っている生き物は何でしょう?
正解は、「カワニナ」です。
「タニシ」と間違えた方がいらっしゃったら、すごく嬉しいです。
普通に「カワニナ」だと答えた方、おめでとうございます。正解しても何もお渡しすることができないのが残念です。
さっぱり何か分からなかった方、今後お酒の席で「楽詩」の話題が上がった際、このゲームを話のネタにしていただいても大丈夫です。巻貝を食べながらだと、より盛り上がると思います。

自分「ねぇねぇ、ちょっと
『楽詩(たのし)』って
10回言ってみて」
「楽詩(たのし)」と「タニシ」って、何だか音が似ていませんか?
この記事を書くにあたって「楽詩(たのし)」という言葉を連呼していたのですが、その際たまに「タニシ」と聞こえることがあったため、このゲームを思い付きました。
ちなみに、

タニシはこの子です。
カワニナは細長く、タニシは丸っこい形をしています。

前置きが長くなってしまいました。
それでは、連載 第2回の本題に入りたいと思います。
先程、皆さんには「楽詩(たのし)」という言葉を10回言っていただきましたが、その際どのような発音で「たのし」と言いましたか?
た↑のし↓ or たの→し↑
おそらく、このどちらかだと思います。
前者は“た”にアクセントを持ってきた言い方で、後者は“し”にアクセントを持ってきた言い方です。
矢印だと少し分かりにくいかもしれませんが、
「た↑のし↓」=「タニシ」
「たの→し↑」=「アサリ」
の発音の仕方と同じだと思っていただければ、イメージがしやすくなるかと思います。

楽詩、は、たのし。
けれど、
たのし、は、「た↑のし↓」或いは「たの→し↑」。
冒頭で、
『いろいろな読み方ができることは、言葉の面白いところであり、難しいところでもあります』
と言いましたが、
同じ言葉でも、その言葉を声に出して言った際の“発音の仕方”が人によって微妙に異なることがあります。
読み方だけでなく、この「発音の仕方が人によって微妙に異なる」という点も、言葉の面白いところの一つではないでしょうか。
「『楽詩』発音問題」
面白いことを見つけた、と、僕がこのことを楽詩の編集長である豊増美晴さんに話したところ、こう名付けてくださいました。
2019年1月20日に発行された「楽詩15」の最後のページ、「作者からのひとことメッセージ」でもこの問題について少しだけ書かせていただいたのですが、皆さんはもう楽詩15はお読みになりましたか?
とよよん商会 BASE店
楽詩15や楽詩のバックナンバー等、こちらからお求めいただけます。

「『楽詩』発音問題」について
そもそも僕が何故この問題、「楽詩(たのし)」という言葉の発音の仕方に興味を持ったかと言いますと、きっかけは
「ツイキャス」
と呼ばれる、誰でも手軽にライブ配信を行うことができるサービスでした。
ツイキャスとは?
- モイ株式会社が運営する誰でも無料でライブ配信が行えるサービスのことで、正式名称は「TwitCasting(ツイットキャスティング)」。
- 通称「キャス」。
- スマートフォンさえあれば、カメラやマイク等の特別な機材を用意することなくライブ配信を行うことができる。
- 配信方法は、①動画配信 ②音声のみの配信 の2種類。
楽詩の作者では、とよよんさんこと豊増美晴さん、とがし ゆみこさん、タムラアスカさんのお三方がたまにツイキャス(以下「キャス」とする)でライブ配信をされています。
※僕がよくキャスを聴かせていただいている方たち
お三方のキャスを聴いていると、「楽詩(たのし)」というワードがたまに登場するのですが、その「楽詩(たのし)」の発音の仕方が三者三様だったのです。

上図は、「た↑のし↓」= ① 、「たの→し↑」= ② にあたります。
とよよんさん、とがし ゆみこさんのお二方は②で、タムラアスカさんは主に②、たまに①の発音の仕方でした。
また、同じ②でも、お三方ではその発音の仕方が微妙に異なっているように感じました。
ちなみに僕はというと、①の方で、「タニシ」と同じ発音の仕方で普段「楽詩(たのし)」と言っています。

何となく違っているように感じた。
②の発音の仕方における微妙な差異ですが、僕はその道の専門家ではないため、正確なことは分からずこのように表現することしかできません。
そして、仮にその道の専門家であったとしても、音の微妙な違いを言葉で表現するのは非常に難しいことです。
とよよんさん
→ https://twitcasting.tv/to_yo_yo_n/show/
とがし ゆみこさん
→ https://twitcasting.tv/yumicomachi/show/
タムラアスカさん
→ https://twitcasting.tv/asuka_tamura/show/
『百聞は一視聴に如かず』
(ひゃくぶんはいちしちょうにしかず)
上記のリンクから、お三方の過去のキャスを視聴することができます。
あなたの耳で実際に聴いて、違いを確かめてみてください。
音の違いは、言葉ではなく音で。
※【録画】という表記のあるもののみ視聴が可能
イリトのおすすめ回
【とよよん&タムラアスカ ほぼ漫才回】
→ https://twitcasting.tv/to_yo_yo_n/movie/378927883
【とよよん&とがし ゆみこ ハイジとクララ回】
→ https://twitcasting.tv/to_yo_yo_n/movie/519751270
ご興味のある方はぜひ。
ここまで読んでくださった方の中で、もしかしたらこんな状態に陥ってしまっている方はいらっしゃいませんか?
「……あれ? 僕・私・俺 の『楽詩(たのし)』の発音の仕方って、どんな感じだったっけ?」
分かります。
私たちは普段の会話で、自分が口に出す言葉の発音の仕方などいちいち意識していません。
そのため、一度自分の発音の仕方を意識してしまうと、普段無意識にやっていたものがよく分からなくなるのです。
「楽詩(たのし)」という言葉も、例外にあらず。
僕もはじめ、考え出すと自分の発音の仕方がよく分からなくなってしまいました。
「た↑のし↓」 なのか、はたまた「たの→し↑」なのか。

この問題の一番やっかいなところは、連載 第1回でも言ったように「楽詩」という言葉は造語であるため、“辞書などには載っていない”というところです。
つまり、正しい発音の仕方がありません。
典型的な理系人間である僕は、この「正しい発音の仕方がない」という事実に対し、モヤモヤせずにはいられませんでした。
頼みの綱のGoogle先生も、今回ばかりはお手上げ。
迷宮入りしそうな「『楽詩』発音問題」。
眠れぬ夜が永遠に続くかと思った、そんなある日のこと。
解決の糸口は、ふと耳にしたある言葉でした。
『みんなちがって、みんないい。』
金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」より
優しくて、それでいてどこか懐かしいような、そんな言葉。この言葉を聞いた瞬間、僕の中のモヤモヤは吹き飛んでいきました。
僕はずっと、何をしていたのだろう。
「『発音の仕方が人によって微妙に異なる』ことは、言葉の面白いところの一つ」と言っておきながら、その“発音の仕方の違い”にモヤモヤとし、「正解」を求めたがる。
完全に言いぶんが矛盾してしまっています。

「正解も間違いも存在しないことが、正解」

あえて言うならば、これが「『楽詩』発音問題」の結論かもしれません。
つまり、「自由」。すごく楽詩らしいかなと思います。
「楽詩(たのし)」という言葉の発音の仕方で悩む必要など、端からありませんでした。
みんなちがって、みんないい。
楽詩(たのし)
いつの日か、あなたがこの言葉を声に出して言っているのを聴いてみたいです。
あなたの発音の仕方は、どんな感じですか?
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
イリト
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