てんしのかきかたあくまのといき●てんしは点うち区切るのだ●点で間を空け●空く間の扉域●文の隙間で俺は笑う●違うわ間間はあわいかきかた描き方天使の描き方天使はぼんやり淡い影●おいおい淡いと間がない●空く間がないと悪魔もいない●悪魔は君と僕の間に
月島 かな
クリスマスツリーに飾られた●天使の人形●ぽろりと落ちて●棚の裏●ああ高みにいた●わたくしが●今では堕天使●埃だらけ●誇りたかき●ルシファー名のり●ここからセカイを●支配してやる
とがし ゆみこ
矢の雨に降られ▲獸のオレンジに振られ▲廃墟に残ったガラスにわたしを視れば▲目は烏を呼んでいた▲バサバサと美しいブラックホール▲そうよ、三角の雨になるんだわ▲誰も振り向かないように▲美しいブラックにミルクティーを落とすためにね▲
Shizuka Ono*
逃げられると思った?●あなたは眠っているだけ。●だって、息がつづいているもの。●目が覚めたら、私でいっぱいにしてあげる。
ねんね
●を摘みました美しい●でした誰にも愛される●を摘んでしまったのは●でしょうか?●を摘みました美しい●でした私だけの●にしたくて手に入れたはずなのに●しい●
こひもともひこ
さよならをいうために●きみを好きになったの●あいを告げるために●きみを好きになったの●わすれないために●きみを愛したの
長坂 美由紀
かれはとてもすなおで●のことまではなしてくれました。この世から死者の国への秘密の扉は●の土地にあるというのです。生者が知ってはいけない●でした。ぼくは、彼をだまらせるために、口に●を入れてやりました。彼は●を根元から歯を立てて、●してくれました。
笛地静恵
いつか途絶えてしまうものならば●ほら、こうして●溶けるほど甘やかしてしまって●何も心配はいらない●腑抜けにして僕の腕の中に●ずっとこのままで居よう
鏡コウ
鋭利な理由、と鈍感な恋、の隙間で●発音される前の言葉が●浅く息づく●朝も夜もいらないね、あなたは悪い●ひと●ひら●ひた●思い出が忍び寄る●邪魔しないで、真空に●騙されていたい●真夜中●あさい●あ●あさ●○と×の途中で
タムラアスカ

私の睫毛を震わせる●砂糖菓子よりも甘い言葉●それは残酷さを孕んだまま●頬を掠め●唇へ●そして●最期の口付けには●至らなかった
Pino
そうじゃないと言ったんだ●ちがうんだと●十回も二十回も●すると奴らはこう言った●ますます怪しい●どうせ嘘だと●疲れ果て●そうだと言った時●奴ら●やっぱりなと●言ったかどうか●わからない●なぜって私は●磔台にいて●炎と煙に包まれてたから●おお、神よ●なぜ私を●見捨てるのか!●私の見知らぬ兄弟が●これから先も●同じ仕打ちにあうだろう●この世のどこか●またはどこもで●何から何まで私たちにそっくりの●ニンゲンタチの●手によって●その時●あいつ●悪魔●と呼ばれるものが現れ●語りつがれるだろう●「悪魔は異端だ、いたんだよ」
藤 一紀
穴に落ちたら罪人になるのか●黒く染まったのは夜か僕か●まだ生きたいと息をする●脳裏に焼きつくあの日の涙●棘のように刺さったままだ●居なくなったあなたを想う時だけ●消えていく息は白い色
聖
●闇に●招かれ●
●姿を●消した●
●部屋に●飾った●
●吊るし雛●
東風めかり
夜風にあたる●そして●私は小さな星を求め●見上げるだろう●夜空に浮かぶ●白い雲●それは●あくまのといき●夜空に浮かぶ●白い月●傾くたびに●微笑む●あなたは●あくまで優しい人
サトウアツコ
天使の偽りに人知れぬ嘆きが乾き●靴を光らせ闇にぎらり輝く欲望になる●しかしそれは昔のお話●トビウオは空を夢想したのだったか●悪魔の吐息は化石になり標本箱の中に飾られている●影がつつましい冬の終わりに●どこかの母親がカーテンを洗う●風が膨らませたのは心だったのだ●
森朱鞠
それは甘く●それは美しく●それは気高く●それは蜜のよう●甘美ないのちのあじ
火南
2016/2/26-3/3開催「楽詩」Twitterイベントより とよよん選。楽詩Ⅴ掲載。●詩は田中宏輔氏考案の詩形。